私的宝盤10 The Beatles / Rubber Soul(1965)

 これを出してしまったらもう何も出せない気がする…。

 

Rubber Soul

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A面
1.「ドライヴ・マイ・カー」(Drive My Car)
2.「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」(Norwegian Wood (This Bird Has Flown))
 3.「ユー・ウォント・シー・ミー」(You Won't See Me)
4.「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhere Man)
5.「嘘つき女」(Think For Yoursel)

6.「愛のことば」(The Word)
7.「ミッシェル」(Michelle)


 B面
1.「消えた恋」(What Goes on)
2.「ガール」(Girl)

3.「君はいずこへ」(I'm Looking Through You)
4.「イン・マイ・ライフ」(In My Life)
5.「ウェイト」(Wait)
6.「恋をするなら」(If I Needed Someone)
7.「浮気娘」(Run For Your Life)

 

 

 改めて聞いてみたけれど、このアルバムが半世紀以上前にリリースされたということが、ものすごいことだと思います。The Beatlesにとってはアイドルからアーティストへと変貌を遂げたと言える、ビートルズにとっても、音楽史から見ても、大きな意味をもつアルバム。
 聴いてみれば分かるけれど、このRubber Soulは、もうジョンレノンのアルバムです。とにかくジョンが輝いている。まず2曲目のNorwegian Woodの存在は、一際異彩を放っている。シタールが入ることで、超独特な、中毒性が高いポップソングになっている。個人的には何かジョンの歌って、テキトーに鼻歌歌いながら作られた感じ。ふん、ふん、ふーんってな塩梅に。感性そのものって感じがする。Across The Universeにしても、Stawberry Fiels Foreverにしてもそう。彼のような人を、きっと天才って言うんだな。

 そんなジョン曰く「初めて真剣に創作した」のがIn My Lifeという曲。とにかく内省的な詞が素晴らしい。ジョンの生き様をそのまま映し出したよう。

 

 

生涯忘れられない場所がある
変わってしまった所もあるけれど
いつまでも変わらないものや 寂れてしまったもの
無くなってしまったものや 今も残っているものもある

どれも恋人や友人と過ごした
懐かしく思い出深い場所なんだ
今でもよく覚えている
亡くなってしまった人 今も元気な人もいるけれど
僕の人生に欠かせない、大切な人たちさ

そんな大切な人たちの中でも
君だけは、特別な人なんだ
他のどんな思い出さえ翳(かす)む程に
二人の愛を想い描く時

過去に巡りあった人や物事が
決して僕の心から消え去ることはないし
これからも 時々そっと思い出すけれど
僕の人生に於いて 君ほど愛しい人はない

 

 

 これはジョンのことなんだけれど、僕は共感せずにはいられない。恐らく、誰しもが自分自身と重なる部分があるのではないか。イントロのリフや間奏のオルガンの音色も、やけに感傷的に、そしてやけに温かな気持ちにさせてくれる。

 ジョンからは確かに天才的な何かを感じる。けれど同時に、こうやって僕らと近しいものを強く感じさせてくれる。彼は単なる天才ではなく、優しさに溢れた等身大のひとりの男。そして熱い男。そんなジョンレノンというひとりが作ったこのIn My Lifeという名曲が、もっともっと日本に広まり、日本人の心にも届いて欲しい。

 ジョンも素晴らしいけれど、ちょうどジョージハリスンが台頭してきた時期。If I Needed Someoneも名曲です。

 

 

 

☆おすすめ☆

4.In My Life…人生の節目で寄り添ってくれるであろう曲。
 

私的宝盤❾ John Frusciante / Shadows Collide With People(2004)

 

 音楽を聴いている人は、鬱病のリスクが低いらしい。セラピーみたいな効果…というか、音楽が好きな人にとっては、単純に好きなことをやってる感覚なんだと思います。好きなことが心を潤してくれている、だから精神が安定する。そう考えると、至極当然のことを言ってる感じがしますね。

 まあでも、そんな単純な話じゃない。要は、音楽はすごいってこと。

 

 

 CalifornicationからBy The Wayへ、そしてStadium Acadium…。レッチリと言えば、この3作。レッチリの奏でる音が好きで好きで、そのうちにギタリストのソロに興味を持ち始めた。初めて聴いた、ジョンフルシアンテのアルバム。

 

Shadows Collide With People

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1."Carvel"

2."Omission" Frusciante, Josh Klinghoffer

3."Regret"

4."Ricky"

5."Second Walk"

6."Every Person"

7."-00Ghost27" Frusciante, Josh Klinghoffer

8."Wednesday's Song"

9."This Cold"

10."Failure33Object"

11."Song to Sing When I'mLonely"

12."Time Goes Back"

13."In Relief"

14."Water"

15."Of Before"

16."Cut-Out"

17."Chances"

18."23 go in to End"

19."The Slaughter"

 

    ジョンの声がとにかくいい…。良すぎる。深みがあって力強くて、引き込まれる。歌っているというより、内面を丸ごと吐露している感覚に近い。いわゆるヘタウマっぽいんだけれど、シャウトだけじゃなく、繊細なファルセットもところどころ見られ、歌唱技術も高いと思う。まあ、レッチリのコーラスも素敵だし、当然と言えば当然か。

 こういったギタリストのソロにありがちなのが、ギタープレイを前面に出したやつ。いわゆるギターのための曲みたいな…。でもジョンは、歌うことをとても大切にしている気がします。しみじみと歌うSong to Sing When I'm LonelyやRickyを聴くと、シンガーソングライターにも影響を受けていることを強く感じる。歌が好きなんです、とっても。

 RegretとTime Goes Backで連発しているが、このアルバム、というか、彼の創作のテーマは『過去』なのではないか?そんな気がする。レッチリの来日公演の最中、ジョンはバンドを脱退。その後はヘロイン中毒と鬱病に苦しんだ。バンドもギターも友も、もっていた全てを自ら捨てた。でもどん底に落ちても、また音楽を始めた。バンドも新メンバーを迎えて活動していたが、やがてジョンを求めた。自ら捨てたバンドが自分を求めてくれたように、ジョンもまたレッチリを求めた。そして7年の歳月を経て、1999年に復帰を果たす。

 ジョンには忘れがたい過去がある。だから過去にこれだけ思いを巡らせるのも至極当然のこと。でももう、彼は過去に捉われてはいない。前を向いている。葛藤を乗り越える中で得た成熟と、レッチリの一員としてプレイできる穏やかな喜びに満ちている。このShadows Collide With Peopleは、そんなアルバム。

 

 

 このアルバムを聴いて気付いたのは、自分が好きだったのはレッチリというより、ジョンフルシアンテだったっていうこと。『ジョンフルシアンテらしさ』が長い尺にどっぷりたっぷり詰まったこのアルバムが、僕は大好きです。レッチリも大好きです。

 また帰ってきてくれてありがとう。新作、楽しみです。

 

 

 

 

☆おすすめ☆

9.Wednesday's Song…名曲です。

私的宝盤❽ TV on the Radio / Seeds(2014)

「人は音楽なしには生きられない」

 

 どこかで聞いたか、本で読んだか、なんかのコピーだったかもしれない。

 僕は毎日音楽を聴きます。聴いて心が休まったり昂ったり…。その安らぎとか興奮は、生きるためのエネルギーになる。とにかく大切で、大好きなもの。だから自分にとっての音楽とは、『あるとよいもの』という娯楽の範疇をはみ出していて、もう『ないといけないもの』なんだと思います。必要不可欠。必需品。

 

 

 まあ…。つまり、No Music No Lifeということか。

 

 

 

Seeds

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1."Quartz"
2."Careful You"
3."Could You"
4."Happy Idiot"
5."Test Pilot"
6."Love Stained"
7."Ride"
8."Right Now"
9."Winter"
10."Lazerray"
11."Trouble"
12."Seeds"

 

 

 ブルックリンのインディーロックバンド、TV on the Radioの6thアルバム。メンバーの死を経てリリースされたこのアルバムは、温もりに満ちた、優しい空気を纏っている。ただ一方で、現状に留まることなく常に先進的な音作りをしてきた彼らだからこそ「売れ線ねらい」「保守的」といった内外野の批判的な声もあるのかもしれない。

 音楽はメロディとリズム。メロディに合わせてリズムができるし、リズムからメロディができてくる時もある。分けること自体がナンセンスなくらい、メロディとリズムは切り離せないものだと思う。

 私見だが、前衛的、先進的、実験的と呼ばれる音は、リズムを変則的にするあまり、メロディが置き去りになっていることが往々にしてある気がする。そして、それがクールだとされ、批評家たちなどから評価される風潮がある。

 話が最初に戻るけれど、音楽なしに人は生きられない。僕たちの生きているこの世界は、音楽で溢れている。だからやっぱり、聴く人に寄り添うものであることが、ごく自然なことだと思うのです。あえて不自然にする必要はない。

 何を言いたいのか、自分でもよく分からん。とにかく言いたいのは、このSeedsのような、ソウルフルでエモい音楽が僕は好きです。

 

 

 

 

☆おすすめ☆

2."Careful You"…自らの心臓の中に入り込んで、その内側から心音を聞いたような感じ。温い。

私的宝盤❼ Radiohead / The Bends(1995)

    Radioheadと言えば、Ok Computerって人は多いかもしれない。でも僕は、断然こっち派。

 

The Bends

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1."Planet Telex"
2."The Bends"
3."High and Dry"
4."Fake Plastic Trees"
5."Bones"
6."(Nice Dream)"
7."Just"

8."My Iron Lung"
9."Bullet Proof..I Wish I Was"
10."Black Star"
11."Sulk"
12."Street Spirit (Fade Out)"

 特別Radioheadのファン、と言うわけじゃないけれど、このアルバムは大好きだ。特に聴き漁っていたのは、大学3年頃。たまに講義をエスケイプしては、岐阜駅裏のバナナレコードまでバイクで足を運んでいた。そして、バイクに乗りながらいつもこのThe Bendsを聴いていた。10年前程の熱はないけれど、改めて聴いてみると、やっぱりいい。すうっと、心に浸透していく感じ。自分がこのアルバムを好きな理由を考えてみると、大きく3つあると思う。

 1つ目は、熱が伝わるということ。熱と言っても熱血ではなく、この熱はもっと屈折している。思うようにいかなくて、それに立ち向かうでもなく、逃げて、逃げて、やがて自分を蔑んで…。それでも生き続けたいと願う、そんな燻ったような熱。でも、燻りはしてはいるものの、熱を放出できないでいるから、めちゃめちゃ熱い。それはもうマグマ並に。表題曲のThe Bendsの中にこんなフレーズがある。

『僕は生きたい 呼吸をしたい 人類の一員に加えられたい』

 もう自分を人とも思えない。でも、みんなと同じ人でいたい。なんか、RADWIMPSの『棒人間』みたいな…。個人的にこの一節に、トムヨークのパーソナリティが色濃く出ている気がする。

 2つ目は、色んなタイプの曲がバランスよく散りばめられているということ。③④のようなアコギのバラードもあれば、⑤⑩みたいなポップなギターロックもある。NirvanaのSmells Like Teen Spiritsに匹敵するような⑦に、不穏でヘヴィな⑧など、どの曲も軒並みクオリティが高く、バラエティに富んでいる。そして、最後はStreet Spirit (Fade Out)で終わる。と思いきや、How Can You Be Sure?が今にも壊れそうな程に儚く奏でられ、Killer Carsでバンドが唐突に暴れ出して終わる。サブスクなんかじゃ勿体ない。絶対にフルで曲名をいじらずに聴くべきアルバムが、このThe Bendsである。あ、ラスト2曲はボーナストラックか。

 3つ目は、High And Dryという名曲があるから。この曲は、とにかく美しい。Radioheadがまだ若い頃(大学時代のストックらしい)の、あの時代の中でしか生まれなかったであろう、不思議な空気感を纏っている。今まで生きてきた中でたった一曲挙げるとするなら、僕は迷いなくこのHigh And Dryを挙げると思う。最も、彼らはこの曲の存在を忘れかけていたらしいが…。

 

 理由を考えてみるほど、だんだんよく分からんくなるし、ひどく陳腐に思えてくる…。そうです、本当に好きなものには理由なんてないのです。そんなこと分かってるのに、いちいち理由を探したくなるのは、それだけ大好きってことで。

 

 

 

☆おすすめ☆

3."High and Dry"…死ぬまで聴き続けたい。

私的宝盤❻ The Strokes / Room on Fire(2003)

 2年目のジンクスって言葉があります。1年目で飛躍して、2年目で伸び悩むってやつです。

 真剣に物事に向き合っていれば、どんな天才でもどんな努力家でも、スランプに陥る時はある。その後で、その人の真価が問われる。スランプ時に、へこたれずにあがき続け、もがき続けられる資質が「たくましさ」であり、「強さ」ではないかと僕は思います。なかなか前に進めないときに、どういう考え方ができるのか…?もがき、あがく中で、人は成長する。人の真価とは、その成長だと思っています。

 

 アメリカ合衆国ニューヨーク出身のロックバンド、The Strokesです。ガレージロック・リバイバルの代表的なグループとして、世界的に知られています。日本でも知名度はかなり高いですよね。

 

Room on Fire

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1."What Ever Happened?"
2."Reptilia"
3."Automatic Stop" (Casablancas, Albert Hammond Jr.[26])
4."12:51"
5."You Talk Way Too Much"
6."Between Love & Hate"
7."Meet Me in the Bathroom"
8."Under Control"
9."The Way It Is"
10."The End Has No End"
11."I Can't Win"

 

 他にも好きなアーティスト、好きなアルバムはあるけれど、個人的にここまでエンドレスリピートしたアルバムはありません。中毒性が極めて強いアルバム。

 ファーストで大ブレイクして、大いに期待される中でリリースした今作。このアルバムを聴く限り、2年目ならぬ、2作目のジンクスなるものは感じられない。ライブの様子からも、(良い意味で)一生懸命さを感じない。ボーカルのジュリアンは緩くて気怠げだし、他のメンバーの演奏も立ち振る舞いもスマート。飄々として、余裕を感じる。

 けれど、ファーストがあれだけ称賛され、バンドがもてはやされた中、プレッシャーは半端なかったと思う。何も感じなかったはずがない。重圧を感じながらも冷静さを保ち、自分たちのスタイルを貫いてよりよいものを作ろうとしたからこそ、このRoom on Fireという素晴らしい作品ができたのだと思う。

 

 何か勝手に解釈しちゃってるけど、確かなのは、ヘヴィロテ必須のアルバムってことです。くどくないのに、めっちゃポップ。このバランス感覚が、The Strokesの真骨頂。

 

 

 

☆おすすめ☆

10."The End Has No End"…軽やかなドラムで始まり、それに野暮ったいボーカルが乗っかると、最高に絶妙。

 

 

私的宝盤❺ B'z / THE CIRCLE(2005)

 1番を決めるのって、難しい。真剣に考えれば考えるほど、段々と分からなくなる。

 例えば、Jeff BuckleyだったらGraceだし、My Chemical RomanceならThe Black Parade…。そういう人たちは簡単。でも、そういう決定的で、圧倒的1枚が存在しないアーティストやバンドって、世の中に一定数いる。B'zは正にそう。人によって最高傑作と言われる作品はまちまちで、好き嫌いの偏りが少ない。つまり、ハイクオリティで安定していると言っていい。雑音には目もくれず、淡々と、やるべきことに没頭し続けているからこその、この安定だと思う。だから、B'zの作品の中から1番を決めるのって難しい。と言うより、B'zに対して失礼だ。

 

 

THE CIRCLE

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1.THE CIRCLE
2.X
3.パルス
4.愛のバクダン
5.Fly The Flag
6.アクアブルー
7.睡蓮
8.Sanctuary
9.Fever
10.白い火花
11.イカロス
12.BLACK AND WHITE
13.Brighter Day

 

 ということで、B'zの最高傑作なんて、とても決められそうにない。でも、1番好きなのを選ぶならこの『THE CIRCLE』。

 高校生の時に初めて聴いたのだけれど、まず『X』にどハマりしたことを覚えている。買ってもらったばかりのMP3で、毎日大音量で聴いていた。

『独りぼっちに慌てるな』

『来世はない 今だけがどこまでも続く』

『目の前の景色が気に入らなくてもじっとにらみつけなさい』

『己が今を変えろ』

 歌詞がスーパーポジティブで、スーパーストイック。そして、ゴリゴリ、ゴツゴツのハードロック。その一方で緩急もあり、非常に聴き応えがあるオープニングナンバー。

 そのままの勢いで、次曲の『パルス』へ。この曲は、めっちゃ速い。そして、速いのに重い。リズム隊のシェーン&バリーがいい味出しとる。歌詞はシリアスなようでふざけてる。「ここ、どっこいでどう?笑」「笑。いいじゃん、それでいこうよ。」って、稲葉さんとTAKが談笑している光景が思い浮かぶ。

 10年前は『X』だったけれど、三十路を超えて今1番心に響くのは、⑤の『Fly The Flag』。この曲はとにかく、めっちゃダサい。ダサいを軽く飛び越えて、もはやかっこいいの域にある。ここまで突き抜けてダサくなれるとこが、もう逆にね…。

『一生懸命生きている 名もない旗を掲げろ』

 己のダサさを認めて、一生懸命もがく様こそが最高にクール。お前のペースで、お前らしくいけよって、優しく強く背中を押してくれる。

 ラストを飾る『Brighter Day』もまた、高校時代のお気に入りだった曲。今も好き。大サビ前のTAKのギターソロが抜群にかっこいい。歌詞は遊びなし、どストレート。「破滅を繰り返しながらも再生していく」というアルバムのコンセプトを、作中で最もダイレクトに表現していると思う。

 

 楽曲ごとのカラーや遊びがありながらも、アルバム全体の印象はシンプルで硬派。創意工夫に溢れ、バラエティに富んだやつよりも、芯の強いやつに、僕はグググッと吸い寄せられるようです。軟派はクソ。でも、硬派に惹かれる(憧れる)僕は、誰よりも軟派なクソ人間なのかもしれない。

 

 

☆おすすめ☆

全部…捨て曲なし。

私的宝盤❹ Arctic Monkeys / Suck It And See(2011)

 バンドに憧れがあります。やりたい気持ちは未だにあるけれど、やれない。主な理由は4つある。

①音楽の嗜好が合う人がいない。

②協調性が足りない。

③そもそもやる気が足りない。

④そんな時間はない。

 人は、やりたくない時には理由を見つけ、逆に本当にやりたいことは、どんなことがあってもやるそうです。

 これが、『こじらせ』ってやつか。

 

   イングランド、シェフィールド出身のロックバンド、アクモン(アークティックモンキーズ)の4thアルバムです。ジャケットは潔い白。ビートルズみたいだな。

 

Suck It And See

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1."She's Thunderstorms"
2."Black Treacle"
3."Brick by Brick" (Turner, Matt Helders)
4."The Hellcat Spangled Shalalala"
5."Don't Sit Down 'Cause I've Moved Your Chair"
6."Library Pictures"
7."All My Own Stunts"
8."Reckless Serenade"
9."Piledriver Waltz"
10."Love Is a Laserquest"
11."Suck It and See"
12."That's Where You're Wrong"

 

 アレックスが書く歌詞にしろ、曲につける題名も、いちいちロマンチックでかっこいい。このタイトルトラックを目にするだけで、文学への造詣の深さが伺える。

 ビートルズの方はバラエティ豊かだったが、アクモンのは真逆。よく言えば、まとまりがあってミニマム。悪く言えば、こじんまりまとまっている。でもそのまとまり、ミニマムさが、最高にかっこいい。ミニマムってのは、無駄を省いて残ったもの。彼らのバックグラウンドは広い。その莫大な知識や趣向をおっ広げにせず、ここまでまとめたのだから、当然その音は分厚くて深い。正に、ミニマム ザ モンキーズ

 

 アクモンのリリースする作品を聴く度に、『現状打破』という信条を感じてならない。いい意味で、一貫性がない。というか、一貫性がないことが一貫性なんだろう。「おんなじことしても、つまんないじゃん?」って、そう言ってるように聞こえる。どんなに売れようが固執せず、リスナーに媚びず、さも当然のように、ガラリと変えてくる。そこもまたかっこいいし、支持される所以なんだろう。

 

 でもね、6thのTranquility Base Hotel & Casinoはちょっといただけない。ごめんなさい。

 

 

 

☆おすすめ☆

4."The Hellcat Spangled Shalalala"…キラキラしたアクモンもいい。