私的宝盤❾ John Frusciante / Shadows Collide With People(2004)
音楽を聴いている人は、鬱病のリスクが低いらしい。セラピーみたいな効果…というか、音楽が好きな人にとっては、単純に好きなことをやってる感覚なんだと思います。好きなことが心を潤してくれている、だから精神が安定する。そう考えると、至極当然のことを言ってる感じがしますね。
まあでも、そんな単純な話じゃない。要は、音楽はすごいってこと。
CalifornicationからBy The Wayへ、そしてStadium Acadium…。レッチリと言えば、この3作。レッチリの奏でる音が好きで好きで、そのうちにギタリストのソロに興味を持ち始めた。初めて聴いた、ジョンフルシアンテのアルバム。
Shadows Collide With People
1."Carvel"
2."Omission" Frusciante, Josh Klinghoffer
3."Regret"
4."Ricky"
5."Second Walk"
6."Every Person"
7."-00Ghost27" Frusciante, Josh Klinghoffer
8."Wednesday's Song"
9."This Cold"
10."Failure33Object"
11."Song to Sing When I'mLonely"
12."Time Goes Back"
13."In Relief"
14."Water"
15."Of Before"
16."Cut-Out"
17."Chances"
18."23 go in to End"
19."The Slaughter"
ジョンの声がとにかくいい…。良すぎる。深みがあって力強くて、引き込まれる。歌っているというより、内面を丸ごと吐露している感覚に近い。いわゆるヘタウマっぽいんだけれど、シャウトだけじゃなく、繊細なファルセットもところどころ見られ、歌唱技術も高いと思う。まあ、レッチリのコーラスも素敵だし、当然と言えば当然か。
こういったギタリストのソロにありがちなのが、ギタープレイを前面に出したやつ。いわゆるギターのための曲みたいな…。でもジョンは、歌うことをとても大切にしている気がします。しみじみと歌うSong to Sing When I'm LonelyやRickyを聴くと、シンガーソングライターにも影響を受けていることを強く感じる。歌が好きなんです、とっても。
RegretとTime Goes Backで連発しているが、このアルバム、というか、彼の創作のテーマは『過去』なのではないか?そんな気がする。レッチリの来日公演の最中、ジョンはバンドを脱退。その後はヘロイン中毒と鬱病に苦しんだ。バンドもギターも友も、もっていた全てを自ら捨てた。でもどん底に落ちても、また音楽を始めた。バンドも新メンバーを迎えて活動していたが、やがてジョンを求めた。自ら捨てたバンドが自分を求めてくれたように、ジョンもまたレッチリを求めた。そして7年の歳月を経て、1999年に復帰を果たす。
ジョンには忘れがたい過去がある。だから過去にこれだけ思いを巡らせるのも至極当然のこと。でももう、彼は過去に捉われてはいない。前を向いている。葛藤を乗り越える中で得た成熟と、レッチリの一員としてプレイできる穏やかな喜びに満ちている。このShadows Collide With Peopleは、そんなアルバム。
このアルバムを聴いて気付いたのは、自分が好きだったのはレッチリというより、ジョンフルシアンテだったっていうこと。『ジョンフルシアンテらしさ』が長い尺にどっぷりたっぷり詰まったこのアルバムが、僕は大好きです。レッチリも大好きです。
また帰ってきてくれてありがとう。新作、楽しみです。
☆おすすめ☆
9.Wednesday's Song…名曲です。