私的宝盤13 B'z / FRIENDSⅡ(1996)

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冬になると聴きたくなる。そんなアルバムが何枚かあります。その内の筆頭がこのアルバム。

 

B'zのアルバムはどれも攻め切っているけれど、特にこのFRIENDSⅡは、攻めに攻めている気がします。AORボサノヴァフュージョンなど、普段なら様々なジャンルを所謂「B'zらしさ」「TAKイズム」に落とし込み、昇華させてくるのだが、今作に至ってはそれが感じられない。潔く振り切っている。

 

それ故、B'zの中では異色の作品。だから昔はあんまり好きじゃなかったんだけれど、少し年齢を重ねたのと、聴きこんできたのもあり、とても好きになった。自分を鼓舞したりじゃなくて、冬景色とセットで黄昏ながらフラットに聴ける。個人的には夕焼けではなく、朝焼けの冬景色で。

 

叶わぬ願いかもしれないが、FRIENDSⅢを是非とも制作して欲しい。2人が70歳くらいになった時に…。だって今のギラギラしてるB'zは、 F RIENDSって感じじゃないしね。

 

 

 

 

 

StingのMercury Fallingと似てる。と思うのは自分だけか?

 

 

 

私的宝盤12 藤井風 / HELP EVER HURT NEVER (2020)

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すごいアルバム、すごい人だ。ここ数年聴いた中で1番のアルバム、1番の才能と胸を張って言える。そして自分の内面にぴったりフィットしてくる…。

 

うれしい。

 

とにかく出会えたことを幸せに感じる。

 

 

 

きっかけはB'zの稲葉さんが、コロナによる外出自粛期間に聴いていたことから。でもジャンルはB'zとも稲葉浩志とも、全く別物。R&Bを基調としながら、ジャズにLoFiにヒップホップ、ロックから昭和歌謡などが入り乱れ、ジャンル分けがもはや困難。非常に豊かなバックグラウンドを感じる。でもね、めちゃくちゃ聴きやすい。すっと入ってきて、でもいつまでも噛み続けられるようにエンドレスリピートできるのは、先述した豊かな音楽的背景と、類稀なポップセンスがあるからだと思う。

 

さらに特筆すべきは、演奏技術と歌唱力の高さ。ピアノ、めちゃくちゃ上手い…!You Tubeで色んな曲のカヴァー動画が観れるけれど、ピアノ一本でも食っていけるんじゃないかと思う位の本格派。歌も上手いんだけれど、何より声がいい。ソウルフルで、聴き手を優しく包み込んでくれる。ただ上手い人はたくさんいるけれど、温かくて深みのある、こんな素敵な声にはそうそうお目にかかれない。

 

歌詞もまたいいんだなあ、これが。等身大の、パーソナルなことを歌っている。どんな歌詞にも少なからずその人の生き様がでるけれど、この人はもうそのまんま。曲名にも、もう笑っちゃうくらい出てるしね。ピュアでユーモラスで、優しい人なんだろうなあ。

 

 

 

まだ23歳……!これからさらに大きく、そして優しい風を起こし、多くの人の心を包み込んでいきそうだ。

 

1.何なんw(WTF lol

2.もうええわ(I'm Over It)
3.優しさ(Kindness)
4.キリがないから(Cause It's Endless)
5.罪の香り(Flavor Of Sin)
6.調子のっちゃって(Oops I Pushed My Luck)
7.特にない(Not Particularly)
8.死ぬのがいいわ(I'd Rather Die)
9.風よ(Hey Mr.Wind)
10.さよならべいべ(SAYONARA Baby)
11.帰ろう(Go Home)

 

おすすめ

10…岡山弁?がかわいい。

11…絶対帰り道に聴きたくなる。

私的宝盤11 James Iha / Look To The Sky(2012)

 スマパン、頑張ってますね。

 

Look To The Sky

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1."Make Believe"
2."Summer Days"
3."To Who Knows Where"
4."Till Next Tuesday"
5."Dream Tonight"
6."Dark Star"
7."Appetite"
8."Gemini"
9."Waves"
10."Speed of Love"
11."4th of July"
12."A String of Words"

 

 こんなに穏やかな気持ちにさせてくれるアルバムも珍しい。彼の声と作った音を聴くだけで、James Ihaという人がとても優しい人だと分かる。なんというか、少年のように繊細で無邪気。尖ったものは、全く感じられない。

 けれどやっぱりスマパンのギタリスト。音はホワホワしてはなくて、所々エッジが効いてます。尖っていないけど、エッジは効いてる…?ちょっと矛盾しているようですが、でもそんな感じ。うん、カッコいいんです。そしてどの曲にも共通するドリーミーさなんかは、スマパンにやっぱ似てます。

 "To Who Knows Where"は、イントロから一瞬で「イハワールド」に引き込まれる。なんとも心地良い…。"Till Next Tuesday"はほっとできるミドルナンバー。買い物とか散歩とか、恋人とのデートとか、そんな日常の些細な幸せが思い浮かぶ。"Gemini"は、ちょっぴり闇を感じさせる。でもなんだろう…?闇と言っても、夕闇の黄昏時を想起させる。時々淡い夕立ちも降ってきたりして、そこにうっすら虹がかかる。情景がふわぁっと浮かぶ。10曲目の"Speed of Love"は、恐らく今作のハイライト。まるで何か、これから楽しいことが始まるかのように、ワクワク感が加速していく。緩やかに加速して、やがて光が差す方へ向かっていく。全曲通して無駄な力みは皆無で、「この流れに逆らうことなく、自分らしくこのペースで行こうぜ。」と、イハさんが語りかけてくれるよう。

 

 ちょっと涼しくなってきた初秋に、朝焼けか夕焼けをみながら聴きたい…。ってことは、まだ聴けんか…。

 

 とか言っときながら、明日の朝、通勤中に聴いてる気がする。

 

 

☆おすすめ☆

10."Speed of Love"…センスの塊。センスの鬼。

 

私的宝盤10 The Beatles / Rubber Soul(1965)

 これを出してしまったらもう何も出せない気がする…。

 

Rubber Soul

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A面
1.「ドライヴ・マイ・カー」(Drive My Car)
2.「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」(Norwegian Wood (This Bird Has Flown))
 3.「ユー・ウォント・シー・ミー」(You Won't See Me)
4.「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhere Man)
5.「嘘つき女」(Think For Yoursel)

6.「愛のことば」(The Word)
7.「ミッシェル」(Michelle)


 B面
1.「消えた恋」(What Goes on)
2.「ガール」(Girl)

3.「君はいずこへ」(I'm Looking Through You)
4.「イン・マイ・ライフ」(In My Life)
5.「ウェイト」(Wait)
6.「恋をするなら」(If I Needed Someone)
7.「浮気娘」(Run For Your Life)

 

 

 改めて聞いてみたけれど、このアルバムが半世紀以上前にリリースされたということが、ものすごいことだと思います。The Beatlesにとってはアイドルからアーティストへと変貌を遂げたと言える、ビートルズにとっても、音楽史から見ても、大きな意味をもつアルバム。
 聴いてみれば分かるけれど、このRubber Soulは、もうジョンレノンのアルバムです。とにかくジョンが輝いている。まず2曲目のNorwegian Woodの存在は、一際異彩を放っている。シタールが入ることで、超独特な、中毒性が高いポップソングになっている。個人的には何かジョンの歌って、テキトーに鼻歌歌いながら作られた感じ。ふん、ふん、ふーんってな塩梅に。感性そのものって感じがする。Across The Universeにしても、Stawberry Fiels Foreverにしてもそう。彼のような人を、きっと天才って言うんだな。

 そんなジョン曰く「初めて真剣に創作した」のがIn My Lifeという曲。とにかく内省的な詞が素晴らしい。ジョンの生き様をそのまま映し出したよう。

 

 

生涯忘れられない場所がある
変わってしまった所もあるけれど
いつまでも変わらないものや 寂れてしまったもの
無くなってしまったものや 今も残っているものもある

どれも恋人や友人と過ごした
懐かしく思い出深い場所なんだ
今でもよく覚えている
亡くなってしまった人 今も元気な人もいるけれど
僕の人生に欠かせない、大切な人たちさ

そんな大切な人たちの中でも
君だけは、特別な人なんだ
他のどんな思い出さえ翳(かす)む程に
二人の愛を想い描く時

過去に巡りあった人や物事が
決して僕の心から消え去ることはないし
これからも 時々そっと思い出すけれど
僕の人生に於いて 君ほど愛しい人はない

 

 

 これはジョンのことなんだけれど、僕は共感せずにはいられない。恐らく、誰しもが自分自身と重なる部分があるのではないか。イントロのリフや間奏のオルガンの音色も、やけに感傷的に、そしてやけに温かな気持ちにさせてくれる。

 ジョンからは確かに天才的な何かを感じる。けれど同時に、こうやって僕らと近しいものを強く感じさせてくれる。彼は単なる天才ではなく、優しさに溢れた等身大のひとりの男。そして熱い男。そんなジョンレノンというひとりが作ったこのIn My Lifeという名曲が、もっともっと日本に広まり、日本人の心にも届いて欲しい。

 ジョンも素晴らしいけれど、ちょうどジョージハリスンが台頭してきた時期。If I Needed Someoneも名曲です。

 

 

 

☆おすすめ☆

4.In My Life…人生の節目で寄り添ってくれるであろう曲。
 

私的宝盤❾ John Frusciante / Shadows Collide With People(2004)

 

 音楽を聴いている人は、鬱病のリスクが低いらしい。セラピーみたいな効果…というか、音楽が好きな人にとっては、単純に好きなことをやってる感覚なんだと思います。好きなことが心を潤してくれている、だから精神が安定する。そう考えると、至極当然のことを言ってる感じがしますね。

 まあでも、そんな単純な話じゃない。要は、音楽はすごいってこと。

 

 

 CalifornicationからBy The Wayへ、そしてStadium Acadium…。レッチリと言えば、この3作。レッチリの奏でる音が好きで好きで、そのうちにギタリストのソロに興味を持ち始めた。初めて聴いた、ジョンフルシアンテのアルバム。

 

Shadows Collide With People

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1."Carvel"

2."Omission" Frusciante, Josh Klinghoffer

3."Regret"

4."Ricky"

5."Second Walk"

6."Every Person"

7."-00Ghost27" Frusciante, Josh Klinghoffer

8."Wednesday's Song"

9."This Cold"

10."Failure33Object"

11."Song to Sing When I'mLonely"

12."Time Goes Back"

13."In Relief"

14."Water"

15."Of Before"

16."Cut-Out"

17."Chances"

18."23 go in to End"

19."The Slaughter"

 

    ジョンの声がとにかくいい…。良すぎる。深みがあって力強くて、引き込まれる。歌っているというより、内面を丸ごと吐露している感覚に近い。いわゆるヘタウマっぽいんだけれど、シャウトだけじゃなく、繊細なファルセットもところどころ見られ、歌唱技術も高いと思う。まあ、レッチリのコーラスも素敵だし、当然と言えば当然か。

 こういったギタリストのソロにありがちなのが、ギタープレイを前面に出したやつ。いわゆるギターのための曲みたいな…。でもジョンは、歌うことをとても大切にしている気がします。しみじみと歌うSong to Sing When I'm LonelyやRickyを聴くと、シンガーソングライターにも影響を受けていることを強く感じる。歌が好きなんです、とっても。

 RegretとTime Goes Backで連発しているが、このアルバム、というか、彼の創作のテーマは『過去』なのではないか?そんな気がする。レッチリの来日公演の最中、ジョンはバンドを脱退。その後はヘロイン中毒と鬱病に苦しんだ。バンドもギターも友も、もっていた全てを自ら捨てた。でもどん底に落ちても、また音楽を始めた。バンドも新メンバーを迎えて活動していたが、やがてジョンを求めた。自ら捨てたバンドが自分を求めてくれたように、ジョンもまたレッチリを求めた。そして7年の歳月を経て、1999年に復帰を果たす。

 ジョンには忘れがたい過去がある。だから過去にこれだけ思いを巡らせるのも至極当然のこと。でももう、彼は過去に捉われてはいない。前を向いている。葛藤を乗り越える中で得た成熟と、レッチリの一員としてプレイできる穏やかな喜びに満ちている。このShadows Collide With Peopleは、そんなアルバム。

 

 

 このアルバムを聴いて気付いたのは、自分が好きだったのはレッチリというより、ジョンフルシアンテだったっていうこと。『ジョンフルシアンテらしさ』が長い尺にどっぷりたっぷり詰まったこのアルバムが、僕は大好きです。レッチリも大好きです。

 また帰ってきてくれてありがとう。新作、楽しみです。

 

 

 

 

☆おすすめ☆

9.Wednesday's Song…名曲です。

私的宝盤❽ TV on the Radio / Seeds(2014)

「人は音楽なしには生きられない」

 

 どこかで聞いたか、本で読んだか、なんかのコピーだったかもしれない。

 僕は毎日音楽を聴きます。聴いて心が休まったり昂ったり…。その安らぎとか興奮は、生きるためのエネルギーになる。とにかく大切で、大好きなもの。だから自分にとっての音楽とは、『あるとよいもの』という娯楽の範疇をはみ出していて、もう『ないといけないもの』なんだと思います。必要不可欠。必需品。

 

 

 まあ…。つまり、No Music No Lifeということか。

 

 

 

Seeds

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1."Quartz"
2."Careful You"
3."Could You"
4."Happy Idiot"
5."Test Pilot"
6."Love Stained"
7."Ride"
8."Right Now"
9."Winter"
10."Lazerray"
11."Trouble"
12."Seeds"

 

 

 ブルックリンのインディーロックバンド、TV on the Radioの6thアルバム。メンバーの死を経てリリースされたこのアルバムは、温もりに満ちた、優しい空気を纏っている。ただ一方で、現状に留まることなく常に先進的な音作りをしてきた彼らだからこそ「売れ線ねらい」「保守的」といった内外野の批判的な声もあるのかもしれない。

 音楽はメロディとリズム。メロディに合わせてリズムができるし、リズムからメロディができてくる時もある。分けること自体がナンセンスなくらい、メロディとリズムは切り離せないものだと思う。

 私見だが、前衛的、先進的、実験的と呼ばれる音は、リズムを変則的にするあまり、メロディが置き去りになっていることが往々にしてある気がする。そして、それがクールだとされ、批評家たちなどから評価される風潮がある。

 話が最初に戻るけれど、音楽なしに人は生きられない。僕たちの生きているこの世界は、音楽で溢れている。だからやっぱり、聴く人に寄り添うものであることが、ごく自然なことだと思うのです。あえて不自然にする必要はない。

 何を言いたいのか、自分でもよく分からん。とにかく言いたいのは、このSeedsのような、ソウルフルでエモい音楽が僕は好きです。

 

 

 

 

☆おすすめ☆

2."Careful You"…自らの心臓の中に入り込んで、その内側から心音を聞いたような感じ。温い。

私的宝盤❼ Radiohead / The Bends(1995)

    Radioheadと言えば、Ok Computerって人は多いかもしれない。でも僕は、断然こっち派。

 

The Bends

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1."Planet Telex"
2."The Bends"
3."High and Dry"
4."Fake Plastic Trees"
5."Bones"
6."(Nice Dream)"
7."Just"

8."My Iron Lung"
9."Bullet Proof..I Wish I Was"
10."Black Star"
11."Sulk"
12."Street Spirit (Fade Out)"

 特別Radioheadのファン、と言うわけじゃないけれど、このアルバムは大好きだ。特に聴き漁っていたのは、大学3年頃。たまに講義をエスケイプしては、岐阜駅裏のバナナレコードまでバイクで足を運んでいた。そして、バイクに乗りながらいつもこのThe Bendsを聴いていた。10年前程の熱はないけれど、改めて聴いてみると、やっぱりいい。すうっと、心に浸透していく感じ。自分がこのアルバムを好きな理由を考えてみると、大きく3つあると思う。

 1つ目は、熱が伝わるということ。熱と言っても熱血ではなく、この熱はもっと屈折している。思うようにいかなくて、それに立ち向かうでもなく、逃げて、逃げて、やがて自分を蔑んで…。それでも生き続けたいと願う、そんな燻ったような熱。でも、燻りはしてはいるものの、熱を放出できないでいるから、めちゃめちゃ熱い。それはもうマグマ並に。表題曲のThe Bendsの中にこんなフレーズがある。

『僕は生きたい 呼吸をしたい 人類の一員に加えられたい』

 もう自分を人とも思えない。でも、みんなと同じ人でいたい。なんか、RADWIMPSの『棒人間』みたいな…。個人的にこの一節に、トムヨークのパーソナリティが色濃く出ている気がする。

 2つ目は、色んなタイプの曲がバランスよく散りばめられているということ。③④のようなアコギのバラードもあれば、⑤⑩みたいなポップなギターロックもある。NirvanaのSmells Like Teen Spiritsに匹敵するような⑦に、不穏でヘヴィな⑧など、どの曲も軒並みクオリティが高く、バラエティに富んでいる。そして、最後はStreet Spirit (Fade Out)で終わる。と思いきや、How Can You Be Sure?が今にも壊れそうな程に儚く奏でられ、Killer Carsでバンドが唐突に暴れ出して終わる。サブスクなんかじゃ勿体ない。絶対にフルで曲名をいじらずに聴くべきアルバムが、このThe Bendsである。あ、ラスト2曲はボーナストラックか。

 3つ目は、High And Dryという名曲があるから。この曲は、とにかく美しい。Radioheadがまだ若い頃(大学時代のストックらしい)の、あの時代の中でしか生まれなかったであろう、不思議な空気感を纏っている。今まで生きてきた中でたった一曲挙げるとするなら、僕は迷いなくこのHigh And Dryを挙げると思う。最も、彼らはこの曲の存在を忘れかけていたらしいが…。

 

 理由を考えてみるほど、だんだんよく分からんくなるし、ひどく陳腐に思えてくる…。そうです、本当に好きなものには理由なんてないのです。そんなこと分かってるのに、いちいち理由を探したくなるのは、それだけ大好きってことで。

 

 

 

☆おすすめ☆

3."High and Dry"…死ぬまで聴き続けたい。