私的宝盤❺ B'z / THE CIRCLE(2005)

 1番を決めるのって、難しい。真剣に考えれば考えるほど、段々と分からなくなる。

 例えば、Jeff BuckleyだったらGraceだし、My Chemical RomanceならThe Black Parade…。そういう人たちは簡単。でも、そういう決定的で、圧倒的1枚が存在しないアーティストやバンドって、世の中に一定数いる。B'zは正にそう。人によって最高傑作と言われる作品はまちまちで、好き嫌いの偏りが少ない。つまり、ハイクオリティで安定していると言っていい。雑音には目もくれず、淡々と、やるべきことに没頭し続けているからこその、この安定だと思う。だから、B'zの作品の中から1番を決めるのって難しい。と言うより、B'zに対して失礼だ。

 

 

THE CIRCLE

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1.THE CIRCLE
2.X
3.パルス
4.愛のバクダン
5.Fly The Flag
6.アクアブルー
7.睡蓮
8.Sanctuary
9.Fever
10.白い火花
11.イカロス
12.BLACK AND WHITE
13.Brighter Day

 

 ということで、B'zの最高傑作なんて、とても決められそうにない。でも、1番好きなのを選ぶならこの『THE CIRCLE』。

 高校生の時に初めて聴いたのだけれど、まず『X』にどハマりしたことを覚えている。買ってもらったばかりのMP3で、毎日大音量で聴いていた。

『独りぼっちに慌てるな』

『来世はない 今だけがどこまでも続く』

『目の前の景色が気に入らなくてもじっとにらみつけなさい』

『己が今を変えろ』

 歌詞がスーパーポジティブで、スーパーストイック。そして、ゴリゴリ、ゴツゴツのハードロック。その一方で緩急もあり、非常に聴き応えがあるオープニングナンバー。

 そのままの勢いで、次曲の『パルス』へ。この曲は、めっちゃ速い。そして、速いのに重い。リズム隊のシェーン&バリーがいい味出しとる。歌詞はシリアスなようでふざけてる。「ここ、どっこいでどう?笑」「笑。いいじゃん、それでいこうよ。」って、稲葉さんとTAKが談笑している光景が思い浮かぶ。

 10年前は『X』だったけれど、三十路を超えて今1番心に響くのは、⑤の『Fly The Flag』。この曲はとにかく、めっちゃダサい。ダサいを軽く飛び越えて、もはやかっこいいの域にある。ここまで突き抜けてダサくなれるとこが、もう逆にね…。

『一生懸命生きている 名もない旗を掲げろ』

 己のダサさを認めて、一生懸命もがく様こそが最高にクール。お前のペースで、お前らしくいけよって、優しく強く背中を押してくれる。

 ラストを飾る『Brighter Day』もまた、高校時代のお気に入りだった曲。今も好き。大サビ前のTAKのギターソロが抜群にかっこいい。歌詞は遊びなし、どストレート。「破滅を繰り返しながらも再生していく」というアルバムのコンセプトを、作中で最もダイレクトに表現していると思う。

 

 楽曲ごとのカラーや遊びがありながらも、アルバム全体の印象はシンプルで硬派。創意工夫に溢れ、バラエティに富んだやつよりも、芯の強いやつに、僕はグググッと吸い寄せられるようです。軟派はクソ。でも、硬派に惹かれる(憧れる)僕は、誰よりも軟派なクソ人間なのかもしれない。

 

 

☆おすすめ☆

全部…捨て曲なし。